ではまたこの次に [出来事]
陸を連れてSさんご一家をお訪ねするのは、これで３度目になるはずだった。
S夫人から最初に頂いたメールは、今から４年近く前に遡る。
≪初めてメールいたします○○（62才）と申します。
朝自分の仕事が一区切り着くとすぐ２階へ上がって陸君のパソコンを開きます。
1日に何度これの繰り返しをすることかそしてパソコンの陸ちゃんに向かって話しかけています。
主人に笑われながら又いつまで続くのかしらと言われながら今年の始めから楽しませて頂いております。≫ （原文のまま）
○○には、実名が書かれている。
以後、ほぼ月に一度のペースでメールを頂戴するようになった。
カメラに写る陸の変化を見逃すまいと、熱心に見守っておられる様子が伝わった。
ご自宅の温室で育てられている蘭やカトレア、そして時折、旅行先でのスナップ写真も添えられて、メールでの楽しいお付き合いが続いた。
夫人（右端）と初対面の陸 （S氏撮影）
初めてお会いしたのは、ちょうど２年前の７月。
S夫人からのメールがしばらく途切れて、気になり始めた頃だった。
ご主人から、初めてのメールが届く。
夫人が数ヶ月間、入院されていたこと、陸に会いたがっていることが記されていた。
”もし宜しければ陸チャンの散歩の時間をお教え頂き、散歩道にて「面会」させてやりたいと存じます。”（原文のまま）
ご主人の奥様を思いやる気持ちに胸が詰まった。
一もニもなく、ご自宅に伺う旨の返信をして、実現した出会いだった。
再会して ジージャン姿の夫人と
同じ年の１１月、もう一度お会いする機会があった。 （その記事はこちら）
散歩日和の中、ジージャン姿の夫人に、広大な武蔵野公園を案内して頂いた。
「もう少し、もう少し」とおっしゃって、陸とどこまでも一緒に歩くのを楽しまれた。
ご主人が頃合いを見て、帰るように誘うと、少し不満そうな表情になった。
まだ歩き足りない、そんな気持ちだったに違いない。
そして一年後、ご主人名のハガキを受け取った。
奥様が、７月に永眠されたことを伝える文面だった。
行年６５歳。
初めてお会いしてからちょうど一年後、どのように考えても早すぎる旅立ちだった。
日曜日（７月８日）、その一周忌法要が執り行われた。
ご丁寧に私共にもご案内を頂き、陸ともどもお寺に向かう。
S夫人に３度目にお会いすることは、叶わなかった。
お天気は曇りで、時折り吹く風が心地良い。
これも梅雨時にしては、とても恵まれた天候だった。
その上、車に残る陸にはあらかじめ、日の当らない、風通しの良い場所が用意されていた。
どこまでも行き届いた配慮がされて、陸も一緒に法要に参列することが出来たと思っている。
車から参列の陸
ひとつ不思議なことがあった。
小さな黒っぽい蝶が、しばらく、車の周りを飛び廻って離れなかった。
駐車場には他の車であふれていたのに、陸の周りだけ、それは飛んでいた。
もしや、それは。。。
そんな気がしてならなかった。
初対面の時の陸 （S氏撮影）
S氏撮影の写真をキッカケに、描かれた『Rの肖像』 （福井洋一氏：作）
初めてお宅をお訪ねした時、ご主人に撮っていただいた陸の写真がキッカケになって、『Rの肖像』が完成したことは、感慨深い。（その記事はこちら）
Sさんご一家をお訪ねしなければ、もとより、あの写真を撮られる機会もなかった。
すると、S夫人から頂いた最初のメールが全ての発端だと分かる。
あのメールがなければ、『Rの肖像』が完成しなかったことになる。。。
なお、最初に頂いたメールには続きがあって、次の言葉で締めくくられていた。
だから、私も天国に居るS夫人に同じ言葉で伝えたい。
「ではまたこの次に。」
≪最近の陸？≫
こんな「陸」も
すっかり甘えん坊に
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人の縁って…不思議ですね。blogをしていなかったら
逢えなかった人、結ばれなかった縁がたくさんあります。
適切な言葉が今、キリッと浮かびません。鼻の奥がツンとして。
陸君の大切なお友達であったＳさんのご冥福をお祈りします。
by MORIHANA (2007-07-10 11:30)
蝶になって陸ちゃんに挨拶なさってたのね、
きっと「ではまたこの次に」って。
さみしいけれど、出会わないと別れもないと思うと
出会わないのはもっとさみしいのかなと思います。
わたしもステキな出会い、大事にしたい。
by (2007-07-10 11:39)
涙ぐんでしまいました。
陸君を法要にお招きなんて、素敵な方ですね。
「この次に。」は、この日だったのかしら。
by (2007-07-10 12:33)
素敵というか 人の縁の不思議 すばらしさを 感じるお話ですね
柴犬陸さんが 良い方であり Sさんご夫妻も すばらしい方なのですね
｢出会い」は 大切にしなければと思いました
ご冥福を お祈り申し上げます
by いちご☆ (2007-07-10 13:54)
言葉が見つかりません。
ホントに何かの縁でつながっているとしか思えない。
ご冥福をお祈りします。
by nico (2007-07-10 13:58)
Rの肖像は、Sさんの存在なくして、出来上がらなかったかもしれない。
私もそれを今回強く感じました・・・
陸ちゃんは本当に不思議な魅力があると日ごろ思ってたけど、
本当にそうだったんですね。
陸ちゃんの繋げた人との繋がり、出会いと別れの哀しさと喜び、
そのままあらわしているような出来事でしたね。
S婦人のご冥福、お祈りします・・・
by nicolas (2007-07-10 14:10)
なんとも不思議なご縁ですね。
どこかしらでつながっているようで・・。
こうして人ってどこかで誰かと、何かとつながっているのかなぁ・・・。
そんなこと思うと また出会いも楽しいものですね。
３度目の再会は きっとその蝶に乗ってこられたのでしょうね。
ご冥福をお祈りします。
by (2007-07-10 14:20)
縁と云うものを強く感じます。ご冥福をお祈りします。合掌
不思議なことが起こることがあるものです。人の力ではどうしようもないものが、誰かに導かれていると感じることが余もあります。
最近の陸君？ 余はいつもリクナビと聞く度に陸君がスカウティングもやっているのかといつも思っていました。
by わやや (2007-07-10 17:07)
縁の不思議さ、大切さを改めて感じました。
S夫人のご冥福を祈ります。
by masiko (2007-07-10 17:25)
今こうして出逢っていることの大切さを、改めて教えていただきました。
by tmykj1 (2007-07-10 19:41)
不思議なご縁。陸クンが出会わせてくれた出会い。陸クンは不思議な力（魅力）を持っているのかも。
S夫人、きっとたくさん陸クンに癒されてたんだと思いますよ。陸クンのライブカメラを熱心に見ていらっしゃった様子、陸クンのことがホントに大好きだったんですね。なんとなく気持ちわかります(#^.^#)
by もも (2007-07-10 21:15)
夫人が旅立たれるその時を知っていたのは陸ちゃんただ一人だったのでしょう。私達は人に会うのも、何か身の回りで起きる事も偶然のように感じていますが、そうではなく、きちんとそのようになるべくして起こるのだと思います。そして、たとえ離れていて、カメラを通してであったとしても、愛する心は時空を超越して動物は感じる事が出来るのだと思います。
生きている時にどれだけ多くの人を愛したかが天国に持っていける財産だと思います。とてもいい話をありがとうございました。
早くライブカメラが復活して欲しいです！
by みずたに (2007-07-10 21:40)
ちょっとドキドキしました。
ご縁って不思議ですよね。
ほんのすこうしズレただけでも成立しないご縁。
素敵な出会いがあってよかったですよね＾ー＾
S夫人もとってもとってもしあわせだったと思います。
by たろちぅ (2007-07-10 21:48)
こういう出会いというのもあるんですね。
全然知らないどこかの誰かが自分のblogを見てくれているかもしれない・・・
なんて思ったらなんだか不思議ですね。
by みゆき (2007-07-10 22:22)
大変こころに染み入るお話を聴けました。
S夫人のだんなさまも素敵な方ですね。
きっと、一周忌法要に陸君と柴犬陸さんが
いらしたことを感じて、S夫人が喜んで
いらっしゃたのですね。
by りゅう (2007-07-11 00:02)
みなさんもおっしゃるように、人の縁や出逢いというのは、
本当に不思議で、予測不可能なものですね。
素敵な出逢いを果たされて、良かったのと同時に、
早すぎるお別れが、残念でなりません。
陸くんの場所もご用意されていたことから、
とても優しく素敵なご夫婦だったんだなと思われます。
陸くんも、心は人としてご夫人を偲んでいらっしゃることでしょう。
「Rの肖像」の不思議な縁、ご夫人のお導きかもしれないですね。
by 雛鳥 (2007-07-11 01:08)
病気の奥様を陸くんにぜひ会わせてあげたいと思ったご主人、
きっとまた会えると信じて陸くんと別れたS夫人、
そして黒い蝶にS夫人を想う柴犬陸さん、
みなさんのお気持ちを考えただけで胸がいっぱいになります。
PCを介してたくさんの人が、陸くんの愛らしい姿に元気づけられているのでしょうね。
私もです。
by チヨロギ (2007-07-11 02:59)
こんにちは。
ブログを通じて素敵な出会いがあったのね。
黒い蝶はきっとS夫人だったと思うの。
陸君に会えて良かったって、
喜ばれていたに違いないわ。 ね。
by ぽちくん (2007-07-11 11:09)
☆MORIHANAさん、ｍ*ちゃん、おぺさん、いちご☆さん、nicoさん、にこちゃん、kurumiちゃん、わややさん、plotさん、２Kさん、masikoさん、tmykj１さん、小父蔵さん、ももちゃん、みずたにさん、たろちぅちゃん、みゆきさん、りゅうさん、SALLYさん、雛鳥さん、チヨロギさん、ぽちママさん
こんなに大勢の皆様にご訪問を頂き、本当に有難うございます。
S夫人には２度しかお目にかかることはありませんでしたが、いろいろと思い出しています。
・陸をかまいすぎて咬まれそうになってしまったこと、それを嫌われたと思って、哀しそうにされたこと。（申し訳ありませんでした）
・たくさんのエサを用意しておられたこと、そしてそのエサを次々と陸に与えようとしてご主人に注意されたこと。
・陸をじっとみつめておられたこと。（陸と見つめあった写真もありますね）
陸を呼ばれるお声も、はっきりと覚えています。
本来なら、個々にお返事をすべきところですが、今回はどうかご容赦下さい。
実は今回の記事に関して、公開するかどうかも含めて、Sさんにご相談し、あらかじめ記事内容も確認頂きました。
「家内も喜んでいると存じます」（原文のまま）
それが早速頂いた回答でした。
by 柴犬陸 (2007-07-11 11:26)
黒い蝶はＳ夫人が陸くんにご挨拶に来たのだと思いますよ、きっと・・・。
by サファイヤ (2007-07-11 17:45)
胸がジーンと温まる、素敵なお話を紹介して頂き、有難うございます。
そうですよ！ 陸君が来たのが分って、ずっと傍にいらした事でしょう。
ブログの写真がキッカケで、生きる喜びまで与えられたなんて素敵です☆
by (2007-07-11 18:36)
あの写真が、そんな素敵な出会いの中で生まれたという事を伺って感慨深いです。
写真の陸君の瞳は、とても不思議な、深い思いを宿しているように感じました。優しそうにも悲しそうにも悪戯っぽくも見える不思議な瞳です。
「R氏の肖像」で、そのすべてを再現できたとは思いません。でも描いて良かったと思っています。
夫人のご冥福をお祈りいたします。
by plot (2007-07-11 21:21)
柴犬陸様、ご無沙汰しております。
S夫妻とのご縁について、お話を読ませていただいて、いろいろと思いが巡ってしばらくコメントを書くことができませんでした。
奥様を思うご主人の気持ちがじんと来ました。
犬には人間の見えないものが見えるといいますが、奥様はきっと天国から今も陸くんのことを楽しみに見守っているのかもしれませんね。
by つばさ (2007-07-12 13:58)
☆きむたこちゃん、サァファイヤさん、saraさん、もういちどplotさん、つばささん
ご訪問そしてコメントを有難うございます。
「Rの肖像」という形で、陸を表現していただいたことがとても幸せなことだと身に沁みて感じました。
出来たら、奥様にこの絵を見せてあげたかった。
そうしたら、どんな感想を述べられたのか。。ぜひ聞いてみたかったです。
by 柴犬陸 (2007-07-13 02:54)
人の縁って 会う回数ではないんですものね。
さぞかし素敵な方だったのでしょう
１年たって 黒蝶になって 陸くんに会いにくるとは。
胸にじーんと来るものがありました
by (2007-07-14 09:48)
☆響（きょう）さん、抜かしてごめんなさい。
みほちゃん、lapisさん
ご訪問そしてコメントを有難うございます。
蝶のことは、最初あまり気にもとめていませんでした。
ただ、ウチの車の周りをずっと離れないので、もしやと思った次第です。
陸は気付いたかどうか、分かりませんが。
by 柴犬陸 (2007-07-15 10:09)
☆柴壱さん
ご訪問有難うございます。
落ち着いたら、またSさん宅を陸と訪ねる予定です。
by 柴犬陸 (2007-07-18 01:02)
「さようなら」ではなく「ではまたこの次に」
この言葉にお人柄が表れているように思います。
忘れられないご縁を得られたのですね。
１枚の肖像に込められたお話 しみじみとした思いで
読ませていただきました。
by あんこ (2007-07-21 15:05)
☆あんこさん
ご訪問そしてコメント有難うございます。
by 柴犬陸 (2007-07-22 01:20)
☆ミミちゃん こちらにもご訪問＆nice！を有難うございます。
by 柴犬陸 (2007-07-31 23:59)