『アンドゥ家の一夜』 [演劇]
早めに家を出たせいで、開場と同時に劇場に入った。
中央にステージがあって、周囲（３方）を客席が囲むセット。
場内は天井がはるかに高く、開放感さえ感じられる。
まだ開演３０分前というのに、ステージは大勢の人であふれかえっていた。
彼らはめいめいが、これから始まる芝居のセリフや動きを繰り返している。
演出の蜷川氏も当たり前のように、細かい指示を出す。
これまでに観たことのない風景だった。
それらを見入っているうちに、あっという間に開演。
さいたまゴールド・シアター 第３回公演 『アンドゥ家の一夜』
≪作：ケラリーノ・サンドロヴィッチ（KERA）、演出：蜷川幸雄≫
中央にステージがあって、周囲（３方）を客席が囲むセット。
場内は天井がはるかに高く、開放感さえ感じられる。
まだ開演３０分前というのに、ステージは大勢の人であふれかえっていた。
彼らはめいめいが、これから始まる芝居のセリフや動きを繰り返している。
演出の蜷川氏も当たり前のように、細かい指示を出す。
これまでに観たことのない風景だった。
それらを見入っているうちに、あっという間に開演。
さいたまゴールド・シアター 第３回公演 『アンドゥ家の一夜』
≪作：ケラリーノ・サンドロヴィッチ（KERA）、演出：蜷川幸雄≫
「さいたまゴールド・シアター」は、蜷川氏が主宰する、５５歳以上限定の演劇集団。
団員を公募して注目されたのが、３年前のことになる。
今回、KERAの台本が初日の３日前に完成したというから、年齢を考えれば、セリフ覚えの苦労は並大抵ではなかったろう。
千秋楽前日とはいえ、この日も蜷川氏を先頭にスタッフ数人が、プロンプターとして客席通路にスタンバイしているのを隠そうとしなかった。
開演前の公開リハーサルも、このプロンプも無事に上演するための苦肉の策だったに違いない。
舞台はポルトガル、老哲学者・安藤先生の豪邸。
安藤が重体に陥り、その報せを受けて、高校教師時代の教え子たちが日本からはるばる見舞いにやって来る。
教え子たちは互いに５０年ぶりの再会を果たし、同級生だった当時に思いを馳せるが、肝心の安藤にはなかなか会わせてもらえない。
安藤が会いたいのは、彼が演劇部の顧問だった頃に目を掛けてやがて女優になった、教え子の城ケ崎だけ。
今はもう目立った活躍をしていない、城ケ崎にしても安藤への特別な想いがあった。
危篤であるはずの安藤が、別の場所に現れたり、城ケ崎に身体を求めたり。
いったいどこからが現実で、どこからが超現実なのか？
もっとも、その答えが欲しい訳でもなかった。
過去の不倫が気になる安藤の妻や、見るからにいかがわしい青い球や薬を売りつける安藤の娘、訳知りの安藤家の老メイド、等々。
・・・何かが起こりそうなエピソードには事欠かない。
しかも、それらが伏線のようにやがてストーリーに絡んでくる。
他にも、安藤の学者仲間や、掛り付けの医師、そして安藤を「アンドゥ」としか発音出来ない隣家のポルトガル人まで。
多彩な登場人物が、ストーリーにナンセンスコメディの膨らみを持たせている。
４２人の登場人物全員に名前を付けて人物像を書き分ける、KERAの構想力（蜷川氏によれば、「優しさ」）には眼を見張った。
終幕近く。
会えないまま日本へ帰ろうとした教え子の前に、安藤が突然姿を表わす。
にわかに興奮する教え子たち。
奇妙なことに、居合わせた他の教え子には安藤の姿が見えるのに、何故か城ケ崎にだけは安藤が見えない。
その少し前、安藤に身体を求められたときは逆に、城ケ崎にしか安藤の姿は見えなかったのに。
なんという符合だろう。
そして、これが安藤の最期になった。
死神とダンスしながら去っていく、安藤がおかしく哀しかった。
上演時間は、KERAらしく休憩を含めて３時間２０分の長丁場。
ゴールドシアター向けに短かめにまとめる、ということは全くなかった。
そして笑わせる小ネタも、いつもながら満載。
笑いながら、なんだかしんみりもした。
カーテンコールで流れたチューリップの「心の旅」（KERAのバンド？）が、泣かせた。
チケット代が３０００円だなんて、こんなに安くて良かったんだろうか？
余談になるが、「NINAGAWA十二夜」東京公演を前々日に終えたばかりの尾上菊之助と休憩時間に遭遇。
彼もいずれKERAの芝居に？
そう期待したい気分だった。
※※※※※
≪見つめる陸≫
見つめる陸いろいろ。
蛾を
自分を
誰を？
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初めまして！
遊びに来ました！
これからヨロシクお願いしま～す<m(__)m>
by aosima0714 (2009-07-01 21:13)
陸クンを見習って、
きむたこもたまには自分を見つめてみようか・・・。(≧v≦)
by きむたこ (2009-07-01 23:38)
概要を読んでフランソワ・オゾンの「８人の女たち」を思い出したんですが、
登場人物がすごいことになってますね～
陸ちゃん、物静かに見てる姿は、学者さんみたいですね！(*￣ω￣)
何かを日々研究しているのかな？
by にこちゃん (2009-07-02 00:48)
陸たんは、、、
なんて、悟った顔をしてるんだ。
by fumilin (2009-07-02 01:52)
こんばんは。
いつもながら見事な解説！
一気に読み進めました。
厳しいプロの舞台って感じですね。
見つめる陸君３連発もかわいかったです。
最後のお写真で見つめているのはやっぱり
お母さんですよね。
by Michy (2009-07-02 02:02)
蛾をじっと見つめてる（笑）！
ジュエルだったら止まることなく
突進して噛み付くのに～
陸くんさすが！（何が？（笑））
そして鏡の中の自分にうっとり？
可愛いなぁぁぁ＾＾
by jewel (2009-07-02 12:25)
開演前に舞台上で憚ることなく最終稽古(?)を見せているのは
それも演出かと思ったら････そういうことなんですね。
それにしても、ゴールドシアターで3時間20分とは、KERAさんと蜷川さんの
本気度が覗えますね
（決して、長いのが良くて、短いのが悪い、というわけではありませんが）
知り合いが、ゴールドシアターの若者版（30歳以下？）に応募して
最終選考の一歩手前で落ちたそうですが、受かっていれば
こんな凄いことになってたんですね、きっと。
またしても、の陸さんの「ビデオカメラ遭遇率」にちょっと笑ってしまいました。
TV放送があるんでしょうかね。
by 柴壱 (2009-07-02 16:46)
解説を拝読して、
安藤を「アンドゥ」と発音・・・。この苗字も伏線なのでせうか？
人生「アンドゥ」は出来ません。
「安藤が見える、見えない」もその人に意思があれば、安藤が見えるのではないでせうか。「識」のレベルの話かも知れませんね。
55歳以上の役者、とある解説では老後は通過点であり・・・とありました。
「老後」ではなく江戸時代に使っていた「老入」に戻した方が良いと考えます。
「老入」：老後を人生の終着点ではなく、入口と考える。
そうすれば、気が軽くなり、様々な問題も解決し、往生が出来ると考えます。
陸君、達観しておられますね。
by わやや (2009-07-02 17:39)
５０代でも６０代でも可能性は無限なんですね。
人はいくつになっても意欲があれば進化できるのかも。
ケラ氏のブログでも取り上げられていたので気になっていました。
おもしろそうな内容ですね。
次回の「カフカ」よりもわかりやすいんじゃないか…って思います＾＾；
ところでケラ氏は新婚旅行に行くことができたのでしょうか？（笑)
by あんこ (2009-07-02 18:06)
これは良い芝居を見られたんですね～
これだけ沢山の芝居を見られて
良かったと思うのって、中々ないと思います
リク～私の方もじーっと見て＾＾
by ハイマン (2009-07-02 21:55)
見つめている陸くん、とても可愛いですね。
by youzi (2009-07-02 22:02)
鏡に映る自分の姿に
何を思っているんだろう。
聞いてみたいですね。
by michy-papa (2009-07-02 22:30)
私も日曜日に観てきました。
ゴールド・シアターは初めて観ましたが、味わい深い舞台でしたね。
台詞に詰まってときどきプロンプが入るのも、まるで演出の一部みたいで。
開演前の芝居を足して4時間弱、これで3000円はお買い得かも（笑）
あと、蜷川さんが腰を下ろした客席にすごく近い席だったので、
至近距離で蜷川さんの後頭部を眺めることができてラッキーでしたw
個人的には、セクシーな安藤先生役の中野富吉さんが好きです♪
by チヨロギ (2009-07-02 23:52)
☆aosima0714さん
はじめまして。ご訪問有難うございます。
こちらこそ、どうぞよろしく。
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:24)
☆きむたこちゃん
きむたこちゃんは、いつも自分を見つめていると思う。
陸みたいにじゃなくて（当たり前）。
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:29)
☆amaneさん
いつもご訪問有難うございます。
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:30)
☆にこちゃん
うわ～、「８人の女たち」ですね。
KERAはそれを意識したのかな？ そう思うともう一度映画を観てみたくなりました。
ただ、安藤先生がかなり高齢なので、ちっともドロドロ感がないですが。
陸が学者だったら、食物学（特にその中の「ササミ」）が専攻とか＾＾；
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:31)
☆yukkyさん
いつもご訪問有難う、です。
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:31)
☆fumilinさん
おっしゃるように、陸はどこか達観したような表情です。
悟りとは気付かなかったです＾＾；
それでなんだか納得しました＾＾
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:32)
☆Michyさん
数日前にこの稽古風景がNHKで放映されました。
そこで分かったのですが、初日が迫っているのにセリフがなかなか万全とはいかなくて、悩んだ末に、こうした演出プランになったそうです。
陸の３枚目の写真ですが、散歩を終えた直後で、満足してあんな顔をしています＾＾
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:33)
☆jewelさん
えっ、ジュエルちゃんは蛾に噛みつくの？
陸は案外怖がりなんで、蛾を見るだけでせいいっぱい。
鏡にはとっても興味があるみたいなんだけど＾＾；
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:33)
☆しばはなさん
ご訪問有難うございます。
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:33)
☆柴壱さん
私も、KERAといえども今回の芝居は、２時間程度だとすっかり思い込んでました。
それが、長セリフもあるし、テンポの良さで笑わせるところもあるし、いつものKERAでした。
ただ、いつもよりずっと分かりやすかったです。
ところで、ゴールド・シアターには若者版もあるんですね。
というと、これからはそうした人たちの公演も用意されているということですよね？
またまた楽しみが増えました。
ビデオ撮影ですが、またまた遭遇です。マチネのせいだと思うんですが。
日本テレビでの放送する予定ですって、詳しい日程は未定ですが。
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:39)
☆あんこさん
ゴールド・シアターについては、前々回の岩松作品（船上のピクニック）の評判が良くて、とても気になっていました。
今回はKERAということで一もにもなく＾＾
とても、心に残る作品に仕上がっていました。
KERAのブログ、私も愛読していますが、新婚旅行の件は、気になっています＾＾
そういえば、KERAの次回作「世田谷カフカ」の先行予約が始まりましたね。
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:39)
☆ハイマンさん
観劇ですが、最近はあまり冒険をしなくなりました、これでも。笑
ナマで観る良さはありますが、本当に疲れてしまうので。
そんな中で、今回の作品は、当たりでした。
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:40)
☆youziさん
陸は歳を取っても相変わらず可愛い～です。
思いっきり親ばかですね。笑
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:42)
☆michy-papaさん
最近、陸は必ずこの場所で鏡に写る自分を見ています。
別のわんこだと思うのか、じっと見入っているんです。
「キミだよ」って教えたものかどうか。（苦笑）
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:42)
☆チヨロギさん
今回あらためて、KERAの芝居にずっと付き合っている、ナイロンの実力を痛感しました。
きっとプロンプターはいないだろうし（苦笑）
セリフの長さも今回、遠慮なしでしたね。笑
蜷川氏の近くというと、楕円形のほぼ正面でしょうか？
彼の後頭部が間近に観られるなんていう経験は、そうそうありませんよね。笑
私は、奥の庭が正面に見える位置でした。
菊之助さんの座席と同じサイド、といったらいいか。。笑
チヨロギさんは、セクシーな安藤先生が好みですか？
私はえ～と。。。。。。老メイドかも。
by 柴犬陸 (2009-07-03 01:43)
『安藤＝アンドゥ』ってのを見ただけで、もう多分全然関係ないんだろうけど、ザワールドオブゴールデンエッグスの『安藤とは！』ってのを思い出して、そこから抜けられなくなりました。多分ご存じないですよね(^^;;;
陸クンが写ってる鏡を陸クンが見てるってことは、陸クンはカメラを構えてる柴犬陸さんを鏡越しで見ているのですよね？カレンも時々鏡越しで私を見ることがあります。そんなときは鏡越しのカレンに向かってアカンベーをしてみちゃう私はイジワルでしょうか…(^.^)
by もも (2009-07-03 21:16)
お芝居＾＾門外漢～＾＾
keraさんって？ 有頂天ってBANDの方？？
次回作 「世田谷カフカ」 タイトルに惹かれます＾＾
by denn (2009-07-04 06:03)
ケラリーノ・サンドロヴィッチさんって、日本人なんですね。。。
舞台もポルトガルだし、てっきり外国の脚本家かと思ってしまいました^^;
隣の老夫婦の「アンドゥ」っていう発音が聞いてみたいです。
このお芝居には、思わず笑ってしまいそうな小さな演出がたくさんありそう。
埼玉って隣の県なのに、よく知らないのですが、
柴犬陸さんの記事によく出てくるところをみると、
案外お芝居が盛んなんでしょうか？
埼玉に住みだした友人でお芝居好き（自分が出たいと思う方）がいるので、
喜びそうです。
by yukki (2009-07-04 07:38)
５５歳以上限定劇団とは頼もしい。
てか、おもしろそう。
で、お芝居をたくさんご覧になっている陸さんならそんなあたりもお芝居の内容以外のお楽しみとなりそうです。
見つめる陸くん、かわいい～♪
by kurumi (2009-07-04 15:33)
☆ももちゃん
「ザワールドオブゴールデンエッグス」を全然知らなかったので、ネットで検索してみました。
それで行き当たったのはコレ↓
「アン・ドォ・トワ・・・アンドトワ・・アンドとは？安藤とは誰？」
おもしろ～い＾＾
ここから逆に辿って、「安藤→アンドゥ」になったのかも。
それアリですね、たぶん。
ところで、鏡に映るカレン姫にアカンベーをするももちゃん、気に入りました＾＾
by 柴犬陸 (2009-07-04 23:05)
☆dennさん
そうです、インディーズのバンド「有頂天」のKERAです。
ご存じでしたか？
私はそっちのKERAは全然知らなくて。
芝居のタイトルは、いつもこだわりがあるようです。
なにせ、作・演出がKERA自身なので。
by 柴犬陸 (2009-07-04 23:09)
☆nobuaki4091さん
はじめまして。ご訪問有難うございます。
by 柴犬陸 (2009-07-04 23:11)
☆yukkiさん
ケラリーノ・サンドロヴィッチといえば、ロシア系と思いますよね。
でも、れっきとした日本人です。
「安藤」は、外国人には発音しにくいので、つい「アンドゥ」になってしまうという設定が最後のオチにもなって、笑わせます。
ナンセンスコメディの要素がいっぱいあるので、いちいちおかしいです。
JR与野本町駅から徒歩10分のところに、「さいたま芸術劇場」があります。
蜷川幸雄氏がこことの関係が深くて、彼の演出作品がたびたび上演されています。
演劇に興味のあるお友達なら、きっとご存じかと思います。
実は、私には遠くて、とても苦手な劇場です。
どうしても観たい作品だけを、それも昼間の公演に限って観ています。
by 柴犬陸 (2009-07-04 23:43)
☆kohtyanさん
いつもご訪問有難うございます。
by 柴犬陸 (2009-07-04 23:45)
☆kurumiちゃん
このゴールド・シアターのことは興味がありましたが、観るのは初めて。
今回はKERAの脚本ということで、ぜひにと思いました。
芝居には素人の方がほとんどですから、中には棒読みの人、セリフが聞き取れない人もいましたが、そんなことはたいしたことがないくらい、素晴らしい作品に仕上がっていました。
by 柴犬陸 (2009-07-04 23:56)
☆lapisさん
いつもご訪問有難うございます。
by 柴犬陸 (2009-07-05 00:01)
このビデオカメラはテレビの撮影ですか？
自分が観に行った時にテレビの撮影があったりするとちょっと嬉しいですよね。
テレビではないですけど、ライブのDVDが自分が観に行った会場だったら嬉しかったりします。
大阪だとなかなかそういうことはないですけどね・・・
陸くんは夏バテなんてしてませんか？
ヤマトは黒いせいかとても暑そうにしてます。
まだまだこれからなのにね。
by みゆき (2009-07-06 15:12)
☆くらいふさん
ご訪問有難うございます。
by 柴犬陸 (2009-07-06 22:52)
☆みゆきさん
日本テレビが放送すると劇場の方からお聞きしました。
写真は、劇場に入る観客たちを撮影しているカメラです。
私は昼公演を観ることが多いので、テレビやDVDの撮影とたびたびかち合います。
あとで放映された時に、なんだか嬉しいですね。
陸も涼しいところを見つけて、寝転がっています。
ヤマトくんもそうなんですね。
ちょっとホッとしました＾＾
by 柴犬陸 (2009-07-06 23:07)
☆ぽちママさん
ご訪問有難うございます。
コメレス遅れてすみません。
by 柴犬陸 (2009-07-22 01:26)