『アンドゥ家の一夜』 [演劇]
中央にステージがあって、周囲(3方)を客席が囲むセット。
場内は天井がはるかに高く、開放感さえ感じられる。
まだ開演30分前というのに、ステージは大勢の人であふれかえっていた。
彼らはめいめいが、これから始まる芝居のセリフや動きを繰り返している。
演出の蜷川氏も当たり前のように、細かい指示を出す。
これまでに観たことのない風景だった。
それらを見入っているうちに、あっという間に開演。
さいたまゴールド・シアター 第3回公演 『アンドゥ家の一夜』
≪作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)、演出:蜷川幸雄≫
『神様とその他の変種』 [演劇]
全知全能の絶対者、最高の支配者、その道のスペシャリスト、等と答えたいところ。
でも、個人的には、この中のどれでもない、ただただ優しい叔母が思い浮かぶ。
・・・そんなことを思うのは、この作品のタイトルから。
「ええ~と、(私は)神様です」
このセリフから芝居は始まった。
ナイロン100℃ 33SESSION 『神様とその他の変種』 (作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ)
『ムサシ』 [演劇]
兵法の書と言われる『五輪書』を自身で記したこと。
そしてなにより、巌流島の闘いで、佐々木小次郎を打ち破ったこと。
・・・宮本武蔵といえば思い浮かぶのはこれらのこと。
この芝居の武蔵は?
「ムサシ」 (作:井上ひさし~吉川英治「宮本武蔵」より~、演出:蜷川幸雄)
題字は 黒田征太郎氏
『夜の来訪者』 [演劇]
セリフが主体の心理劇。
サスペンス。
なんだか面白そうなキャッチが並ぶ。
おまけに、あの名優が初演出だとか。
『夜の来訪者』 (作:J・B・プリーストリー、翻案:内村直也、演出:段田安則)
『トワイライツ』 [演劇]
「もしもあの時に違う選択をしていたら」
誰にも、そんなふうに思い出す出来事があるだろう。
たとえば、入学だったり、就職だったり、結婚だったり、その他もろもろ。
違う選択をしていたら、今はどんな人生を送っているだろうか?
残念だけれど、それは知ることが出来ない。
ささいな事柄から、人生の一大事に至るまで、無数の選択の結果が今ここにこうして在るという厳然たる事実が全てだから。
でも、芝居ならばそれが出来る。
“妄想と現実の狭間を行き来する男女。相反する二つの世界。” とチラシにはあった。
モダンスイマーズ公演 『トワイライツ』 (作・演出:蓬莱竜太)
ここでは、主人公・歌子(鶴田真由)が、結婚相手について実に4通りの選択をしてみせる。
最初のケースでは、隣家に住む、頼りない・富田薫(津村知与支)と結婚。
薫には生活力がなく働く意欲もないから、貧しい暮らしぶり。
それを咎める歌子の粗暴な異母兄(山本亮)が薫を襲う。
暗転。
二番目のケースでは、頭脳明晰で、人生にも強気な・富田薫(古山憲太郎)と結婚。
薫が投資した株で儲け、会社経営も順調、リッチな暮らしぶり。
粗暴だった兄は人が変わったように、薫の従順でおとなしい部下となる。
しかし、薫は愛人を作って、歌子は少しも穏やかではない。
やがて、株は暴落し、事業もうまくいかなくなる。
暗転。
三番目のケースでは、純情で、弱気な・富田薫(西條義将)を避けて、別の男性と結婚。
夫は、小さな工務店を経営し、そこそこの暮らしぶり。
歌子には、薫が自分への思いに蓋をした、優柔不断さが許せない。
薫は歌子にそれをなじられ、絶望する。
暗転。
最後のケースでは、誰とも結婚はしない。
歌子と異母兄との禁断の愛を一瞬、垣間見せる短いシーン。
歌子役は一人が演ずるのに、富田薫役は3人が演ずる、3人1役というユニークさ。
役者は、あて書きしたかのように、それぞれの薫にピッタリする。
どれもが現実なようで、妄想のようで。
人生そんなに甘くないというような、暗い現実(あるいは妄想)ばかり。
どれを選んでも大きな違いはない、といっているようでもあった。
でも、歌子の現実はたったひとつだけ。
それはこの中のどれなのか、ふと思い当った。
上演 2時間
ところで、蓬莱氏は、モダンスイマーズの座付き作家で、弱冠33歳。
ストーリー重視の作品が多いという印象があった。
演劇界の芥川賞とも言える「岸田國士戯曲賞」をつい先ごろ受賞した、新進気鋭。
ところで、「岸田國士戯曲賞」つながりでは、
ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)もちょうど10年前に受賞している。
そして、KERAといえば、3月6日、緒川たまきさんとの入籍が発表された。 (KERAのブログより)
二人の噂はどこかで聞いたことがあったけど、現実のものとは思えなかった。
でも、妄想だとも思わなかった。
なんだか、『トワイライツ』みたい。笑
いやはや、メデタイです。
≪最近の陸≫
ただひたすら噛むだけ。
ハイパーとパイパー [演劇]
今年は三寒四温というより、二寒五温、いや一寒六温が実感には近い。
もし、そんな言葉があればだけれど。
そんな中、出歩いているわりに風邪や花粉症とは縁がない。(今日までのところ)
とは言っても、隠せない老化現象が一つ・二つ。
(一つ) 芝居や本のタイトルをよく間違えること。
先日も紛らわしい芝居のタイトルについて記事にしたが(こちら)、今回はもっと大きなミステイク。
「パイパー」(Piper) を 「ハイパー」(hyper)とカン違いした。
英語にすると一目瞭然、半濁点が付くか付かないかで意味が大きく違う。
例えば、“ハイパー面白い台本” (ケラリーノ・サンドロヴィッチblogより)などと使う。
しかし、“パイパー面白い台本”とは言いにくいし、言わない。
そうすると、パイパーとは何ぞや?
そこで、
NODA・MAP 第14回公演『パイパー』 (作・演出:野田秀樹)が満を持して?登場する。
ここでの「パイパー」とはこんな人↓
稽古風景 舞台では金属の管を使う (「パイパー」プログラムより)
金属的な衣装で身を包み、両手もパイプ状の管で繋がれている状態。
もともとは、人類を幸せにするために作られた生物という設定だが、ストーリーが展開するにつれて逆の働きもする。
なにしろ、人類が火星に住み始めて900年後の世界を描いているのだから、説明は難しい。
そんな時代に生き残って、「希望もそして絶望も絵空事」と訳知り顔の姉(宮沢りえ)に、希望を説く妹(松たか子)。
二人がたくましい。
希望の花が咲くラストシーンに救われた。
ぜんぜん話は違うが、野田秀樹といえば決まって思い出す数年前の一シーン。
それは、大河ドラマ『新選組!』(NHK)でのオールスタッフ・キャスト顔合わせの席でのこと。
話題のドラマだったから、こうした裏話もちらちら放映されていた。
彼は、このドラマの脚本家・三谷幸喜氏のキャスティングで、勝海舟を演じることになった。
もちろん、NHKどころかテレビ初出演。
そこでの挨拶がふるっていた。
“僕はもともと大器晩成と言われてましたが、これがそうだったのかと”
この言葉を思い出す度に、私には遠いNODA・MAPが近づいてくる気がする。
(二つ) 度忘れすること。
友人の誕生日を祝う会食を、てんぷらの深町で。
メニューは、海老2、魚3、野菜5、天丼・天茶・天バラのいずれか、それにデザートのランチコース。
写真はOKと言われたので、天ぷら一つ一つをカメラに収めた。(ここでは省略)
それを場所を変えた、喫茶店でいちいち確認したりして。
ところが、一つだけ「これなんだっけ?」
私も、友人二人もその名前が出てこない。
ふきのとう、つくし、こごみ。。。
違う、違うと言いながら、肝心の名前が出てこない。↓
これは何?
気にしながら、また別のお店で、おしるこなどもすする。
こんな場合は誰かに聞くといいのよね、と言いながら。
と言ってもそんなことはしない、とりあえず「こごみ」ということで落ち着く。
違うような気もするけど。。。決めないと、ゆっくりおしるこも食べられない気分。
実はしっかり食べた。笑
家に帰ると、翌日が生協の注文〆日だからと、いつものようにカタログをチェック。
何の気なしに開いたページに。。。こんな偶然もあるのね。
あった、あった、それがあった! な~んだ、「こごみ」じゃないじゃん。
「たらの芽」が正解!
あーあ、すっきりした。
≪陸も探検≫
陸は探検するのが日課。
これは ふきのとう (食べられます)
これは 友人のバッグ
バッグの中にあったのは↓
いつものN夫人からのプレゼント、手作りペットボトルカバー、ペットボトルも付いてました。
『しとやかな獣』 [演劇]
たとえば、向田邦子さん(作家)が、『荒城の月』の冒頭、
♪ 春高楼の花の宴 巡る盃かげさして
この「巡る盃」を「眠る盃」だと間違って覚えていた話は、よく知られている。
それと比較するのもおこがましいが、芝居のタイトルを『しなやかな獣(けもの)』と思い込んでいた。
紛らわしいといえば、まぁそうだけど。
正しくは、
『しとやかな獣(けだもの)』 (作:新藤兼人、演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ(通称:KERA))
そもそもは、川島雄三監督・若尾文子主演で、1962年に映画化された作品。
御年96歳の新藤兼人氏が、47年前に書いたその脚本を、今回KERAが舞台化した。
『初春花形歌舞伎』 [演劇]
お正月に、市川海老蔵や中村獅堂という「モテ男達を見てやろう」(missoちゃんの言)という企画。
私には、久々の歌舞伎鑑賞となった。
もしや、何十年ぶり?
さあさあ、「初春花形歌舞伎」 昼の部開演でございます。
松の内に、すでに夜の部を堪能したmissoちゃんは、海老蔵を見る目がまるで違う。
目が、口元が、声が、そして姿が。。。その魅力を挙げれば、きりがないようす。
舞踊劇「二人三番叟」の後に、満を持して、海老蔵登場!
「口上」の幕があがる。
舞台中央に裃姿で一人、ご挨拶。
座頭として、巻物に書かれた昼夜の演目を読み上げる。
ここでの注目は、市川団十郎と成田屋一門に限って演じられる、新春吉例の「にらみ」。
これを確と見届けると、今年1年を無病息災に過ごせるとの言い伝え。
お正月早々、Aソ連型ならぬ、モンゴルA型のインフルエンザに罹り、この日マスク着用だったmissoちゃんには、「にらみ」が何よりの薬だったに違いない。
なお、「モンゴルA型」は何?と思われた方々は、missoちゃんのブログをご参考までに。
きっと納得されることと思う。
30分の休憩もそこそこに、次の演目は昼の部のメイン 「義経千本桜」。
歌舞伎に不案内でも、このタイトルには記憶があった。
それなのに、今回は義経も桜も登場しないのは、全五段の内、三段目だけを上演したせい。
それは、家に帰ってから、プログラムを読んで分かった次第。(苦笑)
ここで海老蔵は、いがみ(無法者)の権太を演じている。
権太は、親切心を見せて相手を信用させ、金を騙し取る小悪党。
そのくせ、どこか愛嬌もある。
海老蔵にとっては、これが初役ということだった。
落ちぶれた平家一門、その一行が、権太にまんまとしてやられる。
一行は、平維盛の妻と子、家臣・小金吾の3人連れ。
平維盛の行方を捜す旅だった。
やがて、小金吾が追手に捕まり討ち死にし、維盛の妻子は逃げ延びる。
通りかかった、すし屋の主が小金吾の死骸にぶつかり、その首をある計画から持ち帰る。
そのすし屋こそ、権太の実家で、権太は息子とはいえ勘当の身。
そこには、権太の妹と祝言を挙げる予定の奉公人が居る。
奉公人はやさおとこ、何やら訳ありと見える。
・・・話はテンポ良く展開して飽きさせない。
イヤホンガイドを利用し、解説やあらすじを丁寧に書き記したプログラムを読めば、鬼に金棒。
その上、海老蔵が演ずるとなれば、それはもう。。。
どこまでも魅力的でございました。
なお、獅堂は昼の部では地味な役割で登場場面も少なかった。
その分、夜の部では大活躍だったとか。
やはり、全然違う演目の夜の部も見なくちゃ。。。気付くのが遅すぎた。(27日までの上演)
昼の部と夜の部、上演の間隔はなんと45分!
芝居の後に、キャンティ(銀座松屋)にてお茶を
missoちゃんのマロンケーキも美味しそう。
偶然ながら、この翌日もブログを通して知り合った方にお会いするスケジュールに。
それはまた次回に。
※※※※※
[おまけ]
友人がお正月に作ってくれた、杏仁豆腐。
見た目ももちろん、それ以上に味も抜群だった。
新しい携帯カメラで撮って、ウェイクアップ画面に使っている。
毎朝、美味しくウェイクアップ!
≪最近の陸≫
最近はゆっくりモードの陸。
珍しく、カメラ目線も。
『風が強く吹いている』 [演劇]
その後(and then) [演劇]
もうすっかり門松 (12月26日)
今年納めの芝居を観る。
そのタイトル 『あれから』(and then)に絡めて、それぞれのその後についてご報告を。